2024/10/1
【vol.72】食欲の秋に愛でたい七草や
2024年10月・11月のニューズレター
食欲の秋に愛でたい七草や
みなさん、今年の十五夜は見たかしら? 十五夜といえばススキを連想する人が多いけれど、ススキを含む「秋の七草」すべてが鑑賞向きなのよ。
「萩(はぎ)の花 尾花(おばな) 葛花(くずばな) 撫子(なでしこ)の花 女郎花(おみなえし) また藤袴(ふじばかま) 朝貌(あさがお)の花」(山上憶良『万葉集』より)
二つ目の尾花がススキで、七つ目の朝貌は現代の桔梗(ききょう)なのだけれど、残念ながら、今や桔梗と藤袴は絶滅危惧種に指定されているの。
草花を愛でる美しい日本文化とともに、その植物も守っていきたいわね。
でるたーより
「七草」と耳にすると、秋よりも春の七草を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。なんてったって、春の七草は食べられますからね(笑)。それに、健康と豊作を祈る七草粥なので、生活に直結している感覚が強いのでしょう。
しかし、秋の七草を紐解けば、実は薬草として漢方や生薬に使われてきた草花が含まれ、疲れの出やすい秋に、日本人を癒し、親しまれてきたもの。
秋の七草も春の七草も、はじまりは奈良〜平安時代。もしかすると、最初は同等の扱いだった七草も、医療の発展に伴い秋の七草は存在感が薄れていったのかもしれません。
仕事でも、ITの時代になり便利なツールが続々と出てくるうちに、存在感が薄くなってしまったものもありますよね。でも、根っこを見直したら、実はとても身近で、なくてはならないものだった……なんていう気づきがあるかもしれません。
うまくいっているときこそ足元を見直し、さらに成長するヒントを探してみるいい機会なのでは。
次回は12月にお届けします。どうぞ健やかに、お過ごしください。