2021/2/24

あいも変わらず代書屋さん

あいも変わらず代書屋さん
あいも変わらず代書屋さん

最近、デルターのお客様にある変化があらわれました。これまでは「成長や拡張」をテーマとしたご要望が多く、ウェブサイトにしても冊子にしても、賑やかさや華やかさが求められてきました。しかし最近は「どうしたら長く生き延びていけるか」「良い仕事を続けていくには、どうしたらいいか」という相談が増えているのです。

未来のために過去を知る

あるお客様とのやりとりを例に挙げてみましょう。最初は「ECサイトを立ち上げたい」という話から始まりましたが、百年もの歴史ある事業を続けられてきた背景から「一度、落ち着いて百年の歴史を振り返ってみては?」と提案しました。
それをきっかけに、ご自身のお父様、おじい様、ひいては顔も知らないご先祖様が、どのような想いで事業を続けてこられたかを調べました。そして、これまでの百年を知ることで、この先の百年をどう考えていったらいいかが見えてきたそうです。「未来のことをやろうと思ったら、過去のことを知る」。そうすることで、安定した足場ができるのです。

過去と未来
過去と未来

啓二少年ものがたり

ここからは、少し「デルターの歴史」にお付き合いください。創業は1985年。現在も代表取締役社長を務める戸松啓二、27歳の春でした。時計をもう少し巻き戻し、啓二少年がまだ10代だったころ、お父さんとの関係がうまくいっていなかったそうです。お互い仲良くしたいのに、どれだけ話してもうまくいかなかったため、啓二少年は一通の手紙を書きました。それをきっかけに、コミュニケーションが円滑になり、親子の仲も円満に。
そして、もう少し時が流れ啓二青年になったころ「どうやったら一生続けられる仕事をみつけられるだろう」と図書館を訪れました。そこで、星野芳郎著『情報化社会をどう生きるか』(ダイヤモンド社、昭和58年)という一冊の本と出会います。

啓二青年の印象に強く残った部分を要約すると──
人類の歴史上、新しい技術が生まれるたびに問題が起きてきた。これから情報化社会がはじまると、便利なものがたくさんできる。しかし、人間のコミュニケーションで最も優れているのは「直接会って話すこと」。情報化社会が発展すると、伝わることが増えてコミュニケーションが良くなると勘違いしている。不完全なものが便利になるだけで、世の中が良くなるわけではない。

啓二少年を友人が描いた絵
啓二少年を友人が描いた絵

変わらず大事にしてること

これを読んだ啓二青年は、お父さんに書いた手紙を思い出し、気づきました。あのときは「手紙」という伝えられることが限られる道具を使ったからこそ、気持ちがきちんと伝わったということに。道具は正しく使わないと気持ちは伝わらないことを実感し、人と会うというコミュニケーションの完璧さに感銘を受けました。そして「みんなが伝えたいことが、きちんと伝わるようになってほしい」という想いが、ハッキリと姿をあらわしたのです。啓二青年は「情報産業のインフラが整った社会で、役に立てる会社をやろう」と決意し、デルターを創業しました。
現在、ちまたではSNSだ動画だと言われていますが、どちらも道具のひとつです。お客様の求めていることは昔と変わってきていますが、デルターがやりたかったことは何も変わっておらず、ようやくマッチしてきたように思います。
デルターがやっているのは、例えて言うなれば「代書屋」。その腕の見せどころは「受け取った人にとって価値のあるように伝える」こと。ただの押し付けではいけません。受け取った人が「価値がある」と思えるからこそ、発信者と受け手との間で価値の共有ができるのです。このメルマガも、みなさんにとって価値あるものであれば幸いです。
 

デルターの初期パンフレット『沃野の人』より
デルターの初期パンフレット『沃野の人』より

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