デルター流「システムエンジニアの飼い慣らし方」

同じ会社で働く仲間でも、専門分野が違った場合、話の内容がより高度になるとすべてを理解することは難しいですよね。それでも、相手の話に興味がありますよという姿勢で聞くことで、話し手は気持ちよく話ができ、失敗の後には情報整理ができるし、成功の後には次の働きへのパワーをもらえるものです。今回は実際にあったシステム苦労話を軸に、エンジニアの飼い慣らし方（笑）を紹介します。

お、イケルイケル！　これでイケんじゃね？
これをあーして、こーして、（カチャカチャカチャカチャカチャ）どりゃっ！
…………………チーン…………………。

っていうのを、隣のシステムエンジニアNさんは、ここ数日繰り返している。
こういうときの声の掛け方は決まっている。
「どこがダメだったんですか？」

N：聞いてくれるーーー！？
データベース付きサイトのリニューアルのためにデータ移行をしなきゃならないんだけど、他社製だし10年以上前に作られた古いものだしで、難航してて。FTPで直接サーバに入れなければ、既存システムのバックアップ機能も不具合があるしで、とにかく上手くいかないんだよ！
とりあえず、どーにかこーにかしてデータベースを取れることがわかったからやってみたけど、取れたデータも30%以上が文字化けしてて、まともに読めないんだ。

「なんでそういうことが起こるんですか？」
　

N：プログラムって一定の状態のものを一定の動作で動かすルーチンワークで、例外に弱い。今回のデータは、WEBページを作るのに必要なHTMLデータの保存文字コードが時期によってバラバラで、これが「例外」なわけ。10年前のデータだから今主流の文字コードに対応してなくて、当時から主流も一転二転してるから……、あっ！　そうか！　ごめん、思いついちゃったから、続きやらせて！！（カチャカチャカチャカチャカチャ）

お、今度こそイケル！
おおおおおおお、ハマッたーーーーー！

もちろん、こういうときの声のかけ方も決まっている。
「どこがうまくいったんですか？」

N：ふ、ふ、ふ、この前30%以上文字化けしていたのが、95%復元できた！　元々保存されていた文字コードを一転二転させて、今主流の文字コードにしたんだ。言葉でいうと簡単に聞こえるかもしれないんだけど、そもそも元の文字コードが何かを突き止めるにも、当時メジャーな文字コードに総当たりしたり、大変だったんだから（泣）。
　

「知ってます。すぐ隣でうんうんうなってるの見てたので」
その度に、自分の頭をぐりんぐりん撫でくりまわす癖が出ていたことは、内緒にしておこう。

N：復元率90%のところで最後の壁があって、でも「チルダ」で伝わる？「波線記号」って言えばわかるかな？　あれが悪さしてることに気づいたの！　これは過去の経験のおかげだね～。残りの10%のうち5%はチルダだったから、あとは目視で現行サイトと見比べて文字化けを補完できる。そのためのリストはもうできてるしね。これで、正確性も効率も格段にアップするね。

おぉ～、どんどん鼻の穴が膨らんできてる（笑）。
こういうときは「へぇ～」って相槌を打ちながら、ひたすら褒めるのが定石なんだけど、あえての
「そもそも、どうしてそこまでシステムでやることにこだわったんですか？　言ってもらえれば、手作業でページ作成する時間くらい作りましたよ？」

N：わかってないなぁ～。これくらい数が膨大な場合は、人力でやると絶対にミスもロスも出るもんなの！　そもそも、手作業じゃデータクリーニングできないことが問題。今回の一番の目的は、移行じゃなくてモダンデータにすることだったんだから。パソコンでもスマホでも、多種多様な環境で閲覧できるように、キレイにしておく必要があったんだ。

「なるほど～。それがこの仕事の「なぜ、なんのために」だったんですね」
常にここを意識して仕事しているところは、本当に見習わないとな。
　

N：っていうか、ここからまだもう一山あるんだよねー。データベースからもってきたから、どのデータがどのデータとつながってWEBページを構成してるかを突き止めないと。これは、トライアンドエラーを繰り返してパターンをつかむしかないんだけど、ビット演算で○△♪×□～

これ以上は聞いててもわからないけど、気持ちよく話をさせてあげた方がNさんの場合は仕事の効率も上がるから「さすが、知らなかった、すごーい、センスありますね、そうだったんですか！」で乗り切るぞ☆